温暖前線の北側


【概要】
関東地方南部は、四国の南海上にある低気圧からのびる前線の北側にあたる。アメダスの降水量で確認すると、午前8時から9時までの1時間降水量は見られないが、この時間はちょうど9時前からパラパラと雨が降り出したところで、空は厚い雲に覆われていた。
雲の水平分布は低気圧や前線の北側で特に発達した雲が広がっていたが、関東地方南部では、この時間は下層はごく薄く湿った層も見られたが比較的乾燥しており、雲に対応する湿潤層は中層から上層に広がっていた。


地上天気図(午前9時現在)

四国の南海上には発達中の低気圧があって東北東へ毎時15kmで進んでいる。中心から閉塞前線が潮岬付近に伸び、そこから温暖前線が小笠原諸島北部へ、寒冷前線が南西諸島の南へそれぞれ達している。一方、日本のはるか東には高気圧があって南東へ移動している。高気圧の一部は東北地方北部から北海道東部へ張り出している。


降水分布(レーダー、アメダス降水量)

アメダスの降水量分布を見ると、この時間では中部地方から近畿、四国、中国地方の広い範囲で降っており、特に紀伊水道周辺の沿岸域で10~20mmの強い雨が降っている。

解析雨量でも同様の分布をしている。地上天気図とあわせてみると、閉塞前線の北側から東側にかけての広い範囲で降水が見られ、特に紀伊半島の南海上付近の寒冷前線の一番北側で強い雨が降っている。

雲の分布(気象衛星:可視、赤外)

同時刻の雲の分布をみると、北海道から南西諸島まで日本列島全体が雲に覆われている。特にその中で近畿地方や中国地方から東北地方南部までの広い範囲に雲頂高度の高い発達した雲が広がっている。一方、低気圧付近に四国周辺の雲は雲頂高度が低くなっている。また、紀伊水道から南南西に細く雲のない部分が延びており、その東側で小さな積雲系の雲の集まったところが広がっており、これが寒冷前線に相当する雲と思われる。強い雨はこの発達した雲の下で降っており、これらは次第に東へ移動している。

上空の水蒸気、風、気温の分布(高層天気図)

地上天気図で見られた四国の南の低気圧は、背の低い低気圧で、850hPa面にのみ閉じた低気圧として確認でき、それより上層では気圧の谷となっている。上空の低気圧や気圧の谷の前面にあたる近畿地方から関東地方にかけては南よりの風が吹いており、強い暖気移流場となっている。また、同時に下層を中心に水蒸気輸送が起こっている。中層500hPa面においては発達した雲が広がっていた近畿から東北地方付近で湿数が低く、湿った空気が広がっている。また、この気圧面では気圧の谷の西側の朝鮮半島付近に-30℃以下の寒気の中心があり、気圧の谷の軸が西に傾いていることから、地上低気圧が発達する可能性が見られる。

相対湿度は630hPaから上空で特に高く613hPa付近で100%と飽和になっている。また、730hPa付近と948hPa付近に85%を超える湿潤層が見られる。この時間は関東地方は雨が降っていなかったので、中層から上層にかけて、上空に広がる発達した雲に対応する厚い湿潤層があるが、それ以下の層では乾燥した層が見られる。地上から100m前後付近までは北よりの風、そこから936hPa高度(686m)付近までは東よりの風が吹いているが、それより上空では西よりの風から南西よりの風に変化している。乾燥空気のみをみた温位の鉛直変化は、上空ほど温位の高く空気は安定している。潜熱移動を考慮した相当温位の変化でみると、713hPa高度(高度2872m)付近から700hPa高度(高度3016m)付近までは、相対湿度50%台と空気が比較的乾燥しているために相当温位はその前後の層と比べて低く、730hPa高度から700hPa高度付近までは条件付不安定な状態になっている。また、下層の918hPa高度(高度844m)付近から898hPa高度(高度1024m)付近でも相対湿度50%以下の乾燥空気があるために、大気は条件付不安定な状態になっている。湿潤空気から算出した仮温位でみると、大気は全層で安定している。
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by y_hirarin5 | 2015-01-15 23:59 | 今日の雲
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