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いま、そこにある雲


雲の観察日記 カメラはNikon D40, iPhoneを使ってます。気象予報士(2008年10月〜)
by ひらりん
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寒気の流入と北東気流(高層雲)


【2008年11月9日8時30分ごろ】
@横浜市西区 山下公園
どんよりとした厚い雲に覆われており、北から吹く風が冷たい。雲は滑らかな帯状の部分とそこ合間にもこもことした部分が見られる。前者は波状雲だろうが、後者は最初は乳房雲と思った。でも、雲をよくよくみるともこもこと思っていた丸い部分は周辺よりも雲の色が薄い。つまり周辺よりも雲の厚さが薄いことを示している。これの丸い雲の薄い部分は、雲粒が成長してやがて落下したことでできた蜂の巣状雲と思われる。巻雲、巻層雲や薄い高積雲でも見られるが、この場合は青空がそのままみえたりする。
午前9時現在、横浜では気温12.0℃、北北東の風2m/s、湿度51%

◆天気概況:地上天気図
午前9時現在、千島付近やカムチャッカ半島の南には低気圧があり、一方で大陸にある高気圧が張り出しているため等圧線が込んで、北日本を中心に冬型の気圧配置になっている。この高気圧は日本海側から覆い関東地方まで達している。また、南西諸島の南から小笠原諸島付近まで停滞前線が延びている。南シナ海には台風19号があって北北東へ進んでいる。

◆雲と降水:気象衛星、アメダス降水量分布他
午前9時現在では、台湾の南から延びる下~中層の厚い雲バンドが西日本から東北地方南部までを覆い、本州のはるか東まで達している。その南端の台湾の南には台風19号に伴う大きな団塊状の積乱雲がある。一方、日本海上には寒気の流入に伴う下層の筋状雲が広がっている。降水は、南西諸島から九州南部、四国西部と紀伊半島の南東側と伊豆諸島、北陸から北の日本海側の一部で1時間に数mm程度のものが起こっている。このうち北海道の降水は内陸部で気温が5℃以下になっているため一部で雪の可能性もある。

◆高層大気の状態:高層天気図、高層気象観測データ、ウィンドプロファイラデータ他
高層天気図をみると、西日本から東北地方まで覆っている雲バンドは、本州の南海上にあるものほど厚くなっているが、その北側の陸上にあるものは薄い雲で構成されているのが分かる。主要な雲は日本の南海上のもので850hPa高度(1500m付近)から700hPa高度(3000m付近)にみられ、それらがちょうど南西諸島から九州南部にかかり地上で雨を降らせている。四国西部や紀伊半島、伊豆諸島で降っているものもこの厚い雲の下のものに当たる。この付近は等温度線が混んでいて温度集中帯になっており、下層では北よりの風で強い寒気移流場となっている。また、これより少し北側の上層には強風軸があり、本州上の薄い雲はこの強風軸に対応する雲と思われる。日本海上は寒気に覆われており、温かい海面との間で大気が不安定となり発生した下層の対流雲に覆われている。しかし、この北側には気圧の谷がありそれに伴った寒気の中心が控えている。

関東地方は、南部を中心に東よりの風が入り、高度1000m付近までは東よりの風で相対湿度が高くなっている。また、2000mから7000m付近にも湿潤層がある。後者は日本の南岸に停滞する雲バンドに対応しており、一方、前者は東よりの風に伴うもので雲は2層構造をしていることが分かる。


【追記】
ちなみに、蜂の巣状雲とはこんな感じの雲です。

※ 参照:2008年1月5日の記事
雲の中に丸く穴が空いてます。こういうのが無数に並んで空いていると、蜂の巣のように見えるのでこういう名前がついてます。^^


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by y_hirarin5 | 2008-11-09 23:59 | 今日の雲
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