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いま、そこにある雲


雲の観察日記 カメラはNikon D40, iPhoneを使ってます。気象予報士(2008年10月〜)
by ひらりん
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北から前線が南下(巻雲)


【2010年9月22日9時01分】
@横浜市戸塚区
白く濁った空に、薄い巻雲が出ている。
快晴
午前9時現在、横浜では気温29.4℃、南の風1m/s、湿度66%


◆ 午前9時現在の気圧配置

 東北地方方南部の東海上には低気圧があって東へ進んでいる。揚子江河口から停滞前線が、対馬海峡、能登半島、低気圧の中心を通って日本の東海上に達している。また、オホーツク海には低気圧が3つあって、それぞれ東、東北東、北東へ進んでいる。日本の南海上には台風12号があって、西北西へ進んでいる。一方、東シナ海には高気圧があって西へ移動している。黄河中流にも高気圧があって南東へ移動している。


◆ 午前9時現在の雲と雨

 この時間は、中国大陸から日本海~太平洋へと帯状の雲が伸びており、このうち、中国地方や北陸、東北地方と北海道の太平洋側にこの雲の一部がかかっている。全体的に中層の雲で構成されているが、三陸沖から若狭湾沖の雲と北陸から東北地方南部の雲は発達して上層に達している。そのほかの、九州や四国、紀伊半島には山岳域を中心に下層の対流雲が出ている。

 関東地方は北部に薄い上層雲がかかっているほかはよく晴れている。

 雨は、九州北部や山陰、北陸から新潟、東北地方で降っており、午前9時までの1時間に多いところで~20mmのやや強い雨を観測している。 


◆ 午前9時現在の上空の大気の状態

 オホーツク海には地上低気圧に対応した上空の低気圧があり、そこから伸びる気圧の谷が朝鮮半島北部から黄河下流に達している。500hPa面には中心付近に寒気の中心を持ち、また、850hPa面には、地上の停滞前線に対応する温度集中帯が揚子江中流から朝鮮半島南部、日本海、東北地方南部、千島の南にかけて伸びている。温度集中帯を挟んで北側には強い寒気があって、寒気移流場となっている。また、温度集中帯付近の下層は西~西南西風に伴って湿潤空気が流入している。温度集中帯に対して上層には強風軸がある。

 関東地方は、温度集中帯の南側の暖気の中に入っている。風は西北西~西南西風が吹いており、上層の強風軸より南側にあたる。最下層と中層は寒気移流場、下層700hPa面では温度移流は起こっていない。500hPa面の渦度は負渦度、700hPa面の鉛直流は内陸部で下降流、その他は上昇流となっている。

 高層気象観測データ(館野)
地上付近は気温が上がって相対湿度が高いために相当温位が大きく、下層は対流不安定になっている。対流混合層は形成されておらず、湿潤層は存在しない。971hPa高度から厚さ400mほどの強い逆転層が形成されている。持ち上げ凝結高度は922hPaだが、逆転層の中を通って空気は上昇しないために下層雲形成には至っていないと考えている。上空は西よりの風が吹いており、乾燥空気が流入している。

 天気は下り坂の予報になっているが、現れた巻雲はそれに先行するものではない。気象衛星の画像で時間を遡ると、関東周辺に現れている上層雲は、その風上側の甲信地方付近で発生した発達した対流雲が崩れて、また上層に吹き出した雲の一部であることが分かる。

 悪天時に先行して現れる巻雲は、上層の気圧の谷の前面に、前面(前線面)に沿って流入し上層に達した湿潤空気が元となり、上層の強風軸の中に形成される。なので、雲の形は刷毛で掃いたような鉤状の巻雲が多く、また雲も風の流れに沿うように一定方向に並んでいる場合が多い。また、そのようなものは時間の経過と共に前線面の高度が低くなり、かつ水蒸気量も多くなるために次第に雲が濃くなり、巻積雲、巻層雲、高層雲などへと低い雲に変化していく。このような変化は、西から温帯低気圧が接近してくる場合に起こる。今回の天気の変化は、停滞前線の南下によるもので上層の強風軸は地上前線に対して北側にあるために、強風軸付近に現れる巻雲とは異なる。



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by y_hirarin5 | 2010-09-22 23:59 | 今日の雲
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