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いま、そこにある雲


雲の観察日記 カメラはNikon D40, iPhoneを使ってます。気象予報士(2008年10月〜)
by ひらりん
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東海上に高気圧、下層へ湿潤空気の流入(積乱雲)


【2010年8月9日9時02分】
@横浜市戸塚区

厚い雲が全天を覆っており、そこから雨が降っている。雲の表面には凹凸があり、その雲の下層には小さなちぎれ雲があって南から北ヘゆっくりと移動している。
午前9時現在、横浜では気温25.0℃、南の風3m/s、湿度82%


◆ 午前9時現在の気圧配置

 南西諸島付近には台風4号があって北北東へ毎時25kmで進んでいる。中心気圧は990hPa、中心付近の最大風速は23m/sとなっている。また、停滞前線が渤海の北から沿海州を通って日本海北部に達している。一方、千島の東に高気圧があって東南東へ移動している。また、日本の東海上に別の高気圧があって北東へゆっくり移動している。東日本はこれらの高気圧に覆われており、西ほど気圧が低いため、等圧線は南北に走っている。


◆ 午前9時現在の雲と雨

 この時間は東日本と東海、東海から西の太平洋側の地域、南西諸島付近に雲が広がっている。このうち、東北地方の日本海沿岸と関東地方には発達した積乱雲が見られる。また、南西諸島付近の雲は台風4号に伴う雲で、九州周辺にかかっている雲は台風の外側の積乱雲の一部と思われる。

 関東地方では、南の伊豆諸島付近や千葉県南部付近にいくつか発達した団塊状の積乱雲があり、雲の中心のほとんどは海上にある。内陸部は北ほど(関東地方では北部ほど)雲が薄くなっている。午後になってこの雲は東へと抜けていくが、下層雲はそのまま残ったため1日中曇天が続いていた。


 雨は、この時間は南西諸島や関東から西の太平洋側と秋田県や青森県の日本海沿岸域、北海道北部で降っており、午前9時までの1時間に~10mm、秋田県の男鹿半島付近では~50mmの雨を観測している。


◆ 午前9時現在の上空の大気の状態

 大まかには昨日と気圧配置はほとんど変わっていない。日本の東海上の高気圧は上層まで達する暖かく背の高い高気圧で、上層300hPa面では西側のチベット高気圧と繋がっている。変わった点は300hPa面に見られた西日本上空の寒気を伴った気圧の谷が小さくなったこと、南西諸島付近の台風4号に伴って上空の低気圧が見られることが挙げられる。

 前者による影響は、上空の気圧の谷と寒気が弱まっていることで、中層から上層にかけて南よりの風が西よりの風にシフトしたこと。850hPa面や700hPa面の下層風は東日本上空は高気圧の西の縁に当たるために、南よりの風が卓越し南から湿った空気が流入している。500hPa面では関東地方南部では負渦度場になっているが、700hPa面では下層への湿潤空気の流入により上昇流場となっており、下層を中心に対流不安定の状態になっている。大気の鉛直構造をみると、高層気象データの館野(茨城県つくば市)では990hPa高度(230m付近)以下の下層と620hPa高度から540hPa高度(4200m~5300m付近)に湿潤層があり、気象衛星で見えているのは5000m付近にある中層雲と思われる。

写真の雲は2種類あり、1つは全天を覆う厚い雲、1つは下層の積雲(ちぎれ雲)と見られる。前者は南海上の積乱雲の北側に広がる雲でこの雲から雨が降っていた。後者は高層気象観測データでもあったとおり、下層の南よりの風に伴う湿潤空気の流入によるものと考えられる。




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by y_hirarin5 | 2010-08-09 23:49 | 今日の雲
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